非一貫性/意識の二重性

レゲエはジャマイカの不良の音楽でもあり、「ルードボーイ (rude boy)」、「ラガマフィン (raggamuffin)」、「ギャングスタ (gangsta, gangster)」、「バッドマン (bad man)」など不良を意味する語が(不良たちの暴力をいさめる形でも)しばしば歌詞に現れる。
ルードボーイとラスタは必ずしも対立する概念ではなく、実際には多くのアーティストがルードボーイであり同時にラスタでもあるが、そのような非一貫性はレゲエの歌詞に頻出する主題の一つである。

例えばジミー・クリフの楽曲「ザ・ハーダー・ゼイ・カム (The Harder They Come)」では、曲の前半で生ある内の救済を希求しながら、後半ではむしろ死による救済を願う内容になっている。また、ボブ・マーリーはあらゆる人種間の平和を願う「ワン・ラブ (One Love)」と同じ黒人であってもラスタファリアンでないものを非難する「クレイジー・ボールド・ヘッド (Crazy Bold Head)」という相反する内容の楽曲を発表している。

しかしながら、アフリカン・ディアスポラと植民地時代の奴隷経験によって培われたこの非一貫性、二重性は必ずしもジャマイカ人の中で矛盾として受け取られておらず、レゲエの歌詞の特徴の一つとなっている。
update:2009年09月14日